睡眠不足の身体を起こすべく
制作の休憩に行きつけの喫茶店に行き席に着くと
その日は相席で本を読む女性がいた
彼女はいつもタバコを噴かしながらコーヒーを飲んでいて
彼女の手は無造作に動きながら揺れた煙の中でページをすすめた
その姿は静かな秋の湖で水面を漂う生温い風の様で
遠い子供の頃に過ごした景色が一瞬フラッシュバックした
私の意識は湖面を深く潜り
あらゆる物と物の境界を感じながら
内向性と外交性を極限まで高め
やがて皮膚をも超えて水に溶け
風に揺れる水面の様に自然と同化し
辺りを漂った
ふと指の隙間を流れた風に意識を移すと